| ※ 個人の感想ですので、違っていても責任は負えません! | |
フォーミュラスズキ隼 概要スズキスポーツカップワンメイクレースシリーズの最高峰として、FJ1600とF3の中間の性能を目指して開発。スズキの大型バイク 『GSX1300R 隼』 の175馬力を発生するエンジンと6速シーケンシャルミッションをそのまま搭載し、駆動系からブレーキまでスズキの市販車の純正部品を最大限流用、メーターもバイクのものを視認性のため上下反転してそのまま使うなど、コストパフォーマンスを徹底的に追求した。シャシーはFJなどと同じようなスチール製のスペースフレーム構造だが、ワンメイクのためかFJほどにはこだわった作りではないように感じた。 現在シリーズは終了し、それ以前に販売も終了しているが、これだけの性能(速さ)を誇るフォーミュラカーが僅か315万円で手に入るのは、後にも先にも隼だけであったと思う。 ジムカーナではDクラス(改造なんでもありのクラス)のベース車両として現在も活躍中。 走行インプレッション エンジン、ミッションは市販車そのもので、電子制御のインジェクションのため、エンジン始動に難しさはない。ジムカーナでの使用も考慮したためか、フォーミュラカーとしては異例にハンドルが切れる(小回りが利く)ので、ナンバーが付けばそのまま街乗り出来そうなほど扱いやすい。 ただし発進には少々気を遣う。175馬力のパワーは回転数で稼いだもので所詮は1300cc、バイクには十分でも車両重量430キロ(ドライバー除く)に対して低回転域でのトルクはやや細く、もともと手で操作するためなのか必要以上に軽いクラッチペダルと相まって慎重な操作が要求される。 そして勘のいい人なら気付いているかもしれないが、バイクにはバックギヤがない。「レースはバックしないから必要ないでしょ」 と思うかもしれないが、JAFの規定でレース車両には後退装置が必要。そこで、エンジン&ミッションとディファレンシャルケースの間の短いプロペラシャフトがある場所に、バックするだけのためにフライホイールと始動用とは別のセルモーターを搭載。それにより、周囲の視線を一斉に集めるほどのスゴい金属音を発するものの、バックが可能になった。ただし、僕の乗った隼は問題なかったが、「すぐ壊れる」 とのウワサだったのでほとんど使った事はない。 加速性能は豪快。約170馬力と言われるフォーミュラトヨタと比べても、車重が軽い事もあって確実に加速は鋭い。1万1千回転のレブリミットまできれいに吹け上がり、カン高い排気音も手伝って気分は『エフワン』 。シーケンシャルシフトはバイクの機構(ドグミッション)そのままなので、クラッチを操作せずにアクセルを一瞬戻すだけでシフトアップが可能。シフトダウンもクラッチを操作せずに行う事も可能だったが、元々2輪用のミッションで強度的に不安が残るとの事で、僕はシフトダウンではクラッチを切って行っていた。 ハンドリングはひたすらオーバーステア。ハンドルを切り込んでもフロントが入らなかったという事はほとんどない。コーナー進入時はもちろん、コーナー立ち上がりでも常にテールスライドと相談しながらのアクセル操作を要求される。その要因として、僕が乗った頃にはLSDの装着が禁止されていた事、マレーシア製のタイヤがF3並みの太さでありながらFJ並みのグリップ性能だった事も関係するとは思うが、最も大きな原因は車両のレイアウトによる前後重量配分にあったと思っている。パワーに対しては軽いと思われる1300ccエンジンはドライバーのすぐ後ろに縦に搭載されているが、ミッションもそれとほぼ並列に搭載される。バイクのエンジンを流用しているのでやむを得ないのだが、そのためにリヤの車軸上には重量物が何もなくなってしまう。一般的なフォーミュラカーは、リヤの車軸間にミッションがあり、すぐ前にエンジンがあるのだから、それだけでもかなりリヤのトラクションを得るのが難しいと想像できる。そしてホイールベースも極端に短い。エンジンがコンパクトだからこそだが、このあたりはジムカーナでの使用も考慮したためではないかと思う。 エンジンレイアウトは仕方ないにしても、コクピット部分を前後に長くしてフロントの車軸を前出しすれば、もう少し安定した挙動が得られたのではないかと思うと残念でならない。コクピットは幅は十分だが長さはもう少し欲しいだけになおさらそう感じる。もちろん僕にはそういった設計の知識があるわけではないので、あくまで勝手な予想で根拠があるわけではないのだが…。 前後のウィングはあまり凝った作りではないのだが、それでも確実に高速コーナーの挙動に影響を与える。フロントの方がサイズが大きく風も良く当たるので、フロントはほぼ水平にして(それでもウィング形状によりダウンフォースは発生する)、そこからリヤを調整してバランスを取るようにしていた。ダウンフォースがそれほど多くない=空気抵抗も少ない…という事で、ツインリンクもてぎのダウンヒルストレートでの最高速はF3とほとんど変わらないとか…。そこでは限りなく230km/hに近い事は確かである。 タイヤは前途の通り太さのわりにグリップしない。ただしグリップの落ち込みが非常に少なく、予選のコンマ2〜3秒の争いさえ気にしなければ、毎レース新品を投入する必要もないと思えるほど。2007年から供給の都合でヨコハマ製に変更されたが、F4のタイヤよりもグリップが低いロングライフのものと思われるにも関わらず、あっさりと筑波サーキットでのラップタイムを1秒ほど更新していた。 フォーミュラスズキ隼は、魅力ある要素を備えていながらそれをいまひとつバランスさせ切れなかった非常に惜しいクルマだと思う。 (ないとは思うが)次期型では、パワーはもう少し控えめでもいいので、安心してアクセルを踏んでいけるクルマに仕上がっていることを期待したい。 |
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