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フォーミュラ トヨタ 概要性能差が拡がりつつあったFJ1600とF3の懸け橋となるべく国内初のワンメイクフォーミュラとして1990年よりスタート。初代のFT10から始まり、95年からはFT20、2002年からはカーボンモノコックのFT30と時代に合わせて進化したが、2006年からスタートしたFCJ(Formula Challenge Japan)に役割を譲る形で2007年をもってシリーズを一旦休止。 エンジンは市販車のレビン、トレノなどで絶大な人気を誇った4A−GE。キャブレター仕様で各エンジンチューナーにより味付けは異なるが、スパークプラグから始まって多くの指定部品や改造制限により、約170馬力を発生するにとどまる。ミッションはレーシングカーの定番ともいえるヒューランド製で、4速のHパターン。 ブレーキパッドですら指定部品だが、サスペンションのセッティング、ギヤレシオの選択などは比較的自由に行えるため、ドライバーのセットアップのトレーニングにも適しており、各メンテナンスガレージのエンジニアリング力も試されると言える。 ここではFT30について紹介。 走行インプレッション 搭載しているバッテリーが小型なため、外部からバッテリーをつないでエンジンを始動する。オルタネーター(発電機)もなくバッテリーの電力は使いきりなので、搭載バッテリーの状態にもよるがスピンなどでエンジンを止めてしまった場合の再始動は2、3回が限度の場合もある。 発進はかなり困難。クラッチは乗用車の強化クラッチ程度の扱いやすさなのだが、1速だけギヤ比が指定(僕が参戦した時。それ以前は何種類か選択できた模様。)されており、そのギヤでレブリミット(キャブなのでリミッターは無いが…)の8400rpmまで回すと120km/hまで到達。つまり乗用車で言えば2速発進を強化クラッチで行うようなもので、慣れないうち、特にレーシングカートの経験しかない若いドライバーはとても苦労するようだ。僕は強化クラッチ(ツインプレート)の市販車に乗っていた事もあるのでそれほど苦労はなかったが…。ただ、ドライバーも含めて僅か560kgの重量なので、半クラッチさえ丁寧にこなせばたとえアイドリング回転であってもスルスルと動き出す。 実際のレースでのスタートはさらに難しい。僕はけっこう得意だったと思っているのだが、FTのレース経験が豊富なドライバーでも大きなミスを犯したり、最悪の場合にはエンジンストール、という事も時にはあった。フォーメーションラップでタイヤが温まってしまえば、ギヤ比が高い事もあってそう簡単にはホイールスピン状態にはならない。つまりエンジン回転数をかなり上げていても一気にクラッチをつないでしまうと回転あっという間に落ちてしまう場合も多く、出遅れてしまう。 僕の場合はこうしていた。まずスタート5秒前からエンジン回転数を5000rpmくらいに合わせていく。シグナルブラックアウトとともに素早く半クラッチ状態に持ち込み(もちろん一気に繋ぎきってはダメ)、同時にアクセルを全開、あとは基本的にはアクセルは全開のままでエンジン回転が5000rpm付近にとどまるようにクラッチで調整していく。回転が上がり過ぎるようならクラッチを踏む力を緩め、逆に回転が下がってしまうようなら少し左足に力を入れる。少なくとも4000rpmを下回る事が無いよう調整する。速度が上がるほどにエンジン側とミッション側の回転数の差は徐々に少なくなっていくので、基本的には少しずつクラッチをつないでいくような操作になる。そして、もう完全にクラッチをつないでも4000〜5000rpmを下回る事がないような速度に到達した時点で初めて、クラッチから完全に足を離す。その時の速度は1速のギヤ比から考えると、60km/h+αくらいだろう。ただ、60km/hまでは一瞬でもあるし、もちろんエンジン回転数だけを凝視しながらスタートするわけにもいかないので、言葉で表現すほど簡単ではない。そして、あまりに高回転で半クラッチを多用し過ぎるとクラッチが破損してしまう可能性がある事と、スタートはクラッチにかなりの負担を強いるだけにあまり多くの練習が出来ない事も、ミスを誘う要因と言えると思う。 ハンドリングは、それほどクイックではない。…というのも、専用のBSタイヤがあまり太いわけではなく(それでもリヤは220mm幅)、横方向よりも縦方向でグリップを発揮するタイプ。基本的にサスペンションの硬さはタイヤと路面のグリップによって決まるので、思ったよりも柔らかめだ。あるドライバーの話では、フィーリングが良いと思った走行終了後、トラブルでスタビライザーが外れていた事があったほどだ(スタビライザーは調整は可能だが外すのは禁止)。もちろん路面状況にもよるので必ずしも外せばいいというものではない。そのタイヤ特性は、ブレーキングではかなりの威力を発揮する。FTの富士スピードウェイのメインストレートでの最高速は240km/hほどだが、約100m看板からのブレーキングで1コーナーボトムスピード約70km/hまで減速できる。ただ、コントロール性を重視したブレーキパッドの摩擦力が低く、相当に強く踏む必要がある。強い踏力で使いこなせれば抜群にコントロールしやすいはずだ。 前後のウイングは、あまり大きなものではないが、どれほどの効果を発揮しているのか…。しかも、ウイングの角度というのは、コースレイアウト(コーナーが多いか、直線が長いかなど)によってほぼ決まってしまうので、現場に持ち込んだらあまり大きく変更する事はない。僕はウイングの効果を体感できるほど走りこめなかった、というのが正直なところ。『高速コーナーではダウンフォースが効くから…』などと意識する必要はそれほどなかったと思うので、効きもそれなりということなのだろう。余談だが、同じミドルフォーミュラでも、FCJには立派なディフューザーが装備されている事からもわかるように空力的に洗練されており、かなりのダウンフォースを発生しているようだ。 ミッションは4速だが、ギヤ比の変更はある程度自由に行える。ただし、1速は固定されており、4速は最高速によってほぼ決まってしまうため、2速と3速のギヤ比を、加速のつながりが悪くならない範囲内でコーナーに合わせていく、といった作業になる。…とは言うものの、それも実際はサーキットに持ち込む前にほとんど決まっている。 4速ミッションと聞くと、乗用車でも最低5速、最近は6速も珍しくない事を考えると物足りなく思うかもしれない。しかし、例えば筑波サーキットのような小さいコースの場合、最高速は200km/hにも達しないので、4速は吹け切りで200km/h弱に設定。前途のように1速ギヤは固定で120km/hまで出る。つまり、1コーナーは1速で回り、そのまま3速まで、場合によっては4速までシフトアップ。そして第1ヘアピンは1速まで落とし、2速にシフトアップしてダンロップコーナーを抜けて3速。80Rを回りながら4速に入れて、第2ヘアピンではまた1速までシフトダウン。裏ストレートは当然4速までシフトアップして回し切り、最終コーナーは3速にシフトダウン、立ち上がったら4速、ホームストレートエンドで再び1コーナーに向けて1速までシフトダウン、…といった感じでなかなか忙しい。逆に富士スピードウェイのように直線で240km/hほど出る場合には、3速は200km/hをやや上回るようなギヤ比設定となる。筑波の4速より富士の3速の方がハイギヤードになる。 レース用のドグミッションなので、シフト操作はクラッチを踏まずに行える。ただ、初代FT10からミッションは基本的に使い回し。FT30までのモデルチェンジで、若干のパワーアップとタイヤのグリップ向上もあり、ミッションの容量に余裕がなく、走行後のギヤのチェックは欠かせない。左足ブレーキのドライバーも多かったが、クラッチを使う、使わない関係なく、ミッションを丁寧に扱えるかどうかは参戦コストにも影響してくる。 FT30からカーボンモノコックとなり、安全性能が大きく向上していることは間違いないが、走行性能にかかわるボディ剛性についても十分であると感じた。同時にドライバーの頭部保護のため、コクピット開口部の左右が大きく盛り上がる形状となっている。後方視界はもともとミラーで得るものなのでデメリットはない。 以上のように、FTには欠点がないとも言い切れないが、クルマとしてのバランスはなかなか高次元でまとまっていたように思う。これでセッティングを学んできちんと動かせるようになれればF3でも通用する、というのも間違いではないのだろう(F3には乗った事はないが…)。 |
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